#001 任意継続被保険者制度のルールと禁煙ホテルの張り紙

多くの会社員が退職後によくお世話になる任意継続被保険者制度において、令和4年1月から被保険者からの申し出による資格喪失が可能となったというニュースを読んで苦笑しました。

これまでは退職翌日から20日以内に申し込み、一度この保険制度に加入すると2年間は継続する「義務」がありましたが、今後は被保険者の判断で加入期間中にいつでも国民健康保険等への変更ができるようになったという制度柔軟性の向上らしいですが、現実としては何も変わっていないというのが私の受けた印象です。

なぜならば、これまでも「2年間の継続義務」と同時に「毎月の支払期限までに保険料を納付しないと任意継続被保険者の資格を喪失する」という規定が併記されていたからです。

つまり、本人の収入減や扶養家族の減少等で国民健康保険に切り替えた方が割安になる場合には、任意継続被保険者としての翌月分保険料を敢えて払わないことにより除名してもらい、国民健康保険に乗り換えることがテクニカルに可能でした。

そう考えると今回の任意継続被保険者制度のルール変更は、脱退希望時の健康保険組合への連絡手段に関して「未納」に加えて「通知」の選択肢ができただけと言える訳です。

似たような話は世の中にいくらでもあります。

最近は全館禁煙のホテルが増えてきており、部屋の中に「喫煙された場合は清掃費として1万円を申し受けます」というような間接的な警告文を見かけることがあります。

しかしこれは道徳上と健康上の問題を横におけば、「1万円を払えば室内喫煙OKですよ」と読み替えることができます。

「1万円払ってまでも室内禁煙する人などいるわけがない」というのはただの思い込みであって、喫煙習慣のある宿泊者からすれば、実際に室内で喫煙するかどうかは別にして「追加料金さえ払えば部屋で下着姿になってテレビ見ながらビールでも飲んで煙草が吸える」という選択肢を無料で手に入れたことを意味します。

(無論、実際に何度も禁煙ルームでの喫煙を繰り返すと、特にチェーン展開しているホテルではブラックリストに載ってしまい宿泊予約そのものが将来的に拒否されてしまう可能性が高くお勧めはしませんが。)

自分に届くメッセージを特定の先入観に基づいてのみ受け取る必要はありません。

上記2つの例は敢えて共に「ひんまがった」解釈による自己正当化的なものをあげてみましたが、反対のケースとして受け手側の性善説にたった解釈を前提に罠のような仕掛けが含まれたメッセージを見かけることもあります。

自分が受け取る乃至は発信するメッセージに対して複数の解釈が可能か否かを常に検討する習慣は大切です。

追記:

ちなみに、任意継続被保険者制度のルール変更前のメッセージは単に「中途脱退不可」、禁煙ホテルの張り紙は「室内喫煙禁止」という単純明快な言葉だけを使うか、未納者や違反者にはその結果に対して無制限な責任を負わせる表現にしておくことが正解でしょう。

2022年05月20日